富山の自然と作り手

2020/10/12 06:00

新米豊作!地域との結びつきが、おいしい米作りの秘訣。

 

富山平野を囲むように連なる標高3,000メートル級の北アルプス立山連峰。9月中旬、山の上部は早くも紅葉の時期を迎える頃です。その険しい山々から豊かな水を運ぶ急峻な河川の裾には黄金色の田んぼが広がり、秋風が、どこからともなく湿った土と干し草が混ざったような稲刈りのにおいを運んできます。


 


爽やかに晴れた日、高岡市のジュンブレンドファームさんも稲刈りに大忙しです。9月初旬から10月の上旬まで、順番に数種類のお米の刈り取り作業を行います。


 


「ジュンブレンドファーム」は、大坪さん一家による家族経営の農家。出迎えてくれたのは、およそ80アールの田んぼを一手に仕切る洋介さんと、農家カフェを運営する妻の順子さんです。


 

「今年のお米は粒が大きいんですよ」と洋介さん。

太陽をいっぱい浴びた笑顔に威勢の良い声。豊作の喜びが伝わります。

 


今年の梅雨明けは遅く、8月に入ってからでした。日照不足が心配されましたが、それとは裏腹に、ちょうど稲が体づくりをする時期に水分と湿気に恵まれたからか、影響はそれほどなかったのだそうです。稲穂の成りがよく、ひとつひとつの粒もふくよかに育ちました。洋介さんは、稲の成長段階と気象条件の重なりがマッチした結果だといいます。農業にも先端技術の導入が進む時代になりましたが、自然相手の仕事はまだまだ予測や説明ができないことがあるのですね。自然界はコロナ禍などに左右されることなく、あるがまま。大坪一家のおおらかさは、自然とともに暮らす堅実さにあるのかもしれません。




今回の取材で見せていただいたのは、コシヒカリの収穫。甘みと粘り気のバランスの良い、主力品種です。コシヒカリは61アールの田んぼで、30kg用の米袋にして1,126袋の収穫。目標とする面積あたりの収量も上回る豊作です。種を直接田んぼに播く「直播き」で育てているので、根づきがよく丈夫。ハウスで育苗した後に移植するものと比べると、葉の虫食いも少なく、持った感じもずっしりと手応えがあるのだそうです



コシヒカリに先駆けて収穫を済ませているのは、ミルキークイーンという品種(写真上)。玄米の状態でわかりにくいかもしれませんが、ミルキークイーンの米粒は半透明で表面が白っぽくも見えます。“乳白した良質米の女王”というのがその名の由来のようです。もちもちと甘みが強く、冷めてもかたくなりにくい。お米そのものの味が立つのが特徴です。

 

ちなみに、大坪家ではおにぎりなど、米の風味をしっかりと味わいたい時にはミルキークイーンを。おかずが主役で米は脇役、という時にはコシヒカリを選ぶのだそうです。なんとも米農家らしい食卓事情ですね。



サングラスがよく似合うのは、洋介さんの父、勇さんです。

「農家は私が3代目、うちの坊主が4代目」と教えてくれました。

勇さんは定年退職をするまで、会社勤めをしながら米作りに取り組む兼業農家でした。一方、息子の洋介さんは、米の消費量が下がるこの時代にありながら、農業一本で生活する厳しい道を選びました。


その道を一緒に歩むのが、妻の順子さん。宮崎県出身で、洋介さんとの結婚を機に富山での生活を始めました。今は、農家カフェ“ジュンブレンドキッチン”を、義母さんと一緒に切り盛りしています。仕事が終われば、5歳と3歳、そして間もなく生まれる赤ちゃんのお母さんでもあり、毎日大忙しです。子どもが熱を出した時は、カフェのパートさんに、お店の仕事に代わってベビーシッターをお願いするのだとか。

 

「農業は、どれだけ消費者との関わりを深めようと、地元の人々の協力なくしては成り立たない」

 

としっかりした口調で話す順子さん。農業を営むことは、地域で生きること。とても地域との結びつきの強い仕事であることを印象付けられる言葉した。




この日は、近所の青年が稲刈りの手伝いに来ていました。子どもたちもすっかり懐いていて嬉しそう。地元の人々との家族的な関係づくりも、大坪家のお米作りに欠かせない、大きな要素のひとつなのです。




明るい笑顔がとても気持ちの良い大坪ファミリー。そんな皆さんが、高岡の大地と地域の人々に囲まれて、丁寧に育てたお米、今年はいっそう美味しくできました。ぜひご賞味ください!


「水と匠オンラインストア」

金岡紀子

 

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