富山の自然と作り手

2021/05/26 07:00

未来へつなげる富山湾の恵み シロエビ漁


夜明けはすぐそこ。それでもまだ電灯が頼りになる午前4時台の新湊漁港。
ピンクとブルーの薄明るい空のもと、潮風がピリッと冴える春先に、シロエビ漁のシーズンが到来します。

 

キラキラと輝く姿から「富山湾の宝石」とも称されるシロエビは、言わずと知れた富山湾の名物。中でも、射水市の新湊漁港は、県内随一の水揚げを誇ります。皆さんは召し上がったことがありますか?むき身のお刺身は、とろ〜っとした食感とともに凝縮されたエビの甘味が口の中いっぱいに広がります。まさにお味も「宝石級」のシロエビですが、ただ美味しいだけではありません。

 

標高3000メートル級の山々が連なる北アルプス立山連峰。そこから一気に下ったところにある富山湾は、水深1000メートルの深海です。沿岸から近いところから谷のように海底が深まる独特な地形は、まさに「天然のいけす」。日本海に生息するおよそ800種類の魚のうち、富山湾には500種類が泳いでいるといわれるほど魚種が豊富です。

地球の7割は海。とても広く大きいですが、漁として成り立つほどにシロエビの漁獲があるのは、世界中見渡しても富山湾だけ。オンリーワンなのです。


この富山が誇る宝を広く知ってもらおうと立ち上がった地元の有志がいます。

「富山湾しろえび倶楽部」というグループ名で活動している地域の漁師さんたちです。10代から漁師一筋というメンバーもいれば、脱サラして漁師に転職したメンバーもいて、皆それぞれ。いずれにしても、漁業は新湊エリアに古く根付いた産業なので、早かれ遅かれいずれは・・・という心構えのもと漁師になり、今日も船の上で仕事をしています。

 

―代々受け継がれてきたものを、さらに未来へつなげたいー

そんな思いを胸に、漁師の皆さんは、持続可能な漁業に日々取り組んでおられます。

ひと昔前までは、各漁船が漁獲量を競い合うようにシロエビ漁に出ていました。明け方からお昼前まで漁港と海を複数回往復していましたが、それでは資源の枯渇を招きかねません。

 

現在は、A班・B班という具合に漁船を2グループに分けて、1日置きに漁に出ています。水揚げ量を調整しながら、乱獲を防ぎ、売り上げは平等に。つまり、どれだけ獲ってもお給料は等分。「競争」ではなく「共有」することを選んだ漁師さんたち。資源の保全を最優先に考えた、未来につなげるための運営方法です。

 

さらに、新しい動きもあります。漁に出ないグループの漁船を観光船として利用し、シロエビや漁の魅力をたくさんの人に体感してもらおうという取り組みです。富山湾でしか行われていないシロエビ漁を観光船に乗って間近で見るという、とても貴重な機会を提供しているのです。

 

私たちも取材で観光船に乗せていただきましたが、感動の一言でした。

まずは、富山の地形を体感できること。晴れていれば、海の上から立山連峰が一望できます。山から海まで直線距離でわずか50数キロの間に高低差が4000メートルもあるダイナミックな地形には圧倒されます。

 

さらに、人間の力には及ばない大自然の中で仕事をする漁師さんの姿。生きるために食を得ることの厳しさを肌で感じることができます。シロエビの収獲を待たずして、すでに感動や発見がいっぱいなのです。

 

さて、いよいよクライマックス。「シロエビ」の水揚げです。

獲れたては透明感があり、手に取って空にかざせば向こうの景色が見えるほど。うすいピンクに輝いて、本当に「宝石」のよう。




なぜこんなに美しいのか。富山の自然体系から生まれた“奇跡”としか言いようがありません。地球の不思議、自然の不思議に触れる感動体験です。

 

「海の上から見る立山連峰は何度見てもすばらしい」

 

何百回、何千回と海に出ている漁師さんも口を揃えてそう言います。このサステナブルな「富山湾の宝石」に出会う体験、ぜひたくさんの方に味わっていただきたいです。

 

水と匠オンラインストア

金岡紀子



◯参考UR L

「富山湾しろえび倶楽部」

http://shiroebiclub.net/

シロエビ漁観光船の運航は通常4月〜10月に行っています。

2021年5月現在、コロナ禍にて実施を見合わせています。


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