2020/06/01 02:06
松本幸一郎さんに初めてお会いしたのは、松本魚問屋さん本社の応接室でした。
第一印象は、「ちょ、ちょっと怖そう」(正直に言いました。ごめんなさい!)。氷見の漁業に関わっている方らしい、いわゆる「海の男」感があったのです。
ところがお話をしてみると、とても謙虚で、同時に仕事に真摯に向き合いながら新しいことにチャレンジしようとされている姿勢、オープンに他者の言うことに耳を傾けられる様子、など「誠実で信頼できる方だな」、と面会が終わる頃にはすっかり印象が変わっていました。
松本さんは、築地市場を始め全国や世界の市場に鮮魚を卸すスケールの大きな商売をされています。客観的に見たら、むしろ手間のかかる加工業に参入される必要があるのだろうか?と疑問に思ってお尋ねしたところ、「かつては氷見漁港の周りにあった『すり身屋さん』がほとんどなくなってしまった。おじいちゃん・おばあちゃんがそこで美味しいすり身を作っていた当たり前の風景が失われつつある。それも氷見の文化だから守りたいと思った」と真っ直ぐな答えが返ってきました。
松本さんは中学の頃から漁港に通ってセリを見ておられたのだそう。お爺様の代から氷見で魚の卸売業を営んでおられますが、家の方に強制されたわけでもなく、「とにかく浜にいて大人たちの仕事や魚を見ているのが楽しかった」と松本さん。「大学時代に遊びに行く約束をしていても、朝、浜に寄ってから合流していた。なんて真面目な人だろう、と感心した」とは奥様・理香さんの証言。
その中で自然と魚の良し悪しを見る目を養い、手伝いながら作業の大変さを実感した松本さんは、徹底的に効率化や機械化を図り、十代の頃から培った目と経験から来る勘と度胸で氷見トップクラスの卸問屋としての地位を築いてこられました。
「とにかく、ズルが嫌い」と言う松本さんは、加工業に参入する際にも、必要な免許取得や工場も整備し、無添加・無着色の安心・安全な魚食品の提供を徹底されています。
そこには奥様の理香さんの思いも。「お母さんたちを助けたい。本当はお魚を家族にもっと食べさせたいのに、とどこかで罪悪感を感じている主婦の方がたくさんおられると思う。だから、できるだけ簡単に調理ができたり、子供たちも食べやすいようにしたり、いろんな食べ方をお伝えしたりしています。氷見の美味しいお魚が、家族の笑顔や幸せにつながることを願っています」。
目利きで誠実な松本さんが選んだ質の良いお魚×フランスで修業した経験を持つ山下シェフの腕から生み出される松本魚問屋さんの加工品。食べた瞬間に「これは違う」、と体が言います。本当に「いい魚」なのだと理屈抜きに分かるんです。自信を持ってオススメします。
「水と匠」オンラインストア店長
林口砂里
追伸:「水と匠」では、氷見の定置網漁の見学ツアーを実施しています。コロナの状況が落ち着いたら、体験しにいらっしゃいませんか?
*サステナブルな「越中式定置網漁」と松本魚問屋さんのお話 (前編)はこちら>>
https://store.mizutotakumi.jp/blog/2020/05/18/010501
*当ストアでは、松本魚問屋さんのお魚加工品を販売させていただいています。定置網漁で獲れた美味しく安全なお魚をどうぞお召し上がりください。
カテゴリー「海の幸」
https://store.mizutotakumi.jp/categories/2378206
*越中式定置網漁に関して、水と匠本サイト「STORIES」でさらに詳しくご紹介しています。ぜひお読みください!
「寒ブリを呼び込む天の恵み『越中式定置網漁』と氷見の魚が美味しい理由」