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松井機業
明治10年の創業以来、南砺市城端の地にて一貫して絹織物の製造と販売を手がけています。中でも、「玉糸」と呼ばれる貴重な糸を使った「しけ絹」の生産に特徴があります。「しけ絹」は、ごく稀に2頭の蚕がひとつの繭玉をつくることにより生み出されるもので、その稀少性から“奇跡の糸”とも言われます。しけ絹の生地に和紙を裏打ちした「しけ絹紙」は、ふすまなどの表具地、壁紙などのインテリア商品に。その他に紋紗や夏用襦袢を製造しています。
城端の絹織物の歴史は戦国時代末期に遡るとされ、かつては岐阜県境にある五箇山や旧砺波郡(現:南砺市福光)で作られらた生糸を使って生産されていました。江戸時代には城端に住む人の半数以上が絹織物に携わったといわれるほどの一大産業でしたが、現在では松井機業1軒のみとなりました。地元に伝わる絹織物の伝統を未来につなげようと、蚕の餌となる桑の栽培を土づくりから行い、工場内の養蚕場で「お蚕さん」を育てるといった新たな取り組みにも力を注いでいます。
写真:松井紀子さん(6代目)と夫の渉さん
しけ絹について
松井機業さんをたずねて、まず印象的だったのが、「お蚕さん」のひとこと。自然の恵みをいただくことに対する感謝の念を持ってものづくりに向き合う松井さん夫婦の精神文化が感じられた瞬間です。
通常は、1頭の蚕がひとつの繭を作るところ、稀に2頭の蚕がひとつの繭をつくります 。その確率は2~3%といわれるほど貴重。2頭によって生み出された糸は「玉糸」と呼ばれ、玉糸で織られた特殊なシルクを「しけ絹」といいます。玉糸は、しっかりとしていますが、太さが不均一で節もあるため、織り機の稼働中に切れることも多々あります。作業場では、常に熟練の従業員が目配りをしながら製造に当たっています。
創業140年の伝統ある工場には、古いもので50年ほど使われている年代物の織機も現役です。カシャン、カシャンと均一なリズムを打ちながら、タテ糸とヨコ糸が組み合わさることで絹の織物が仕上がっていきます。細い生糸を一本一本機械の穴に仕掛けるのは、人の手による作業。見ているだけで気が遠くなります。
よく見ると、節のようなものがありますね。これが2頭の蚕がつくり出す「玉糸」の特徴でもあり、独特の風合いがあります。昔は節のない生糸に比べ、価値が下がるとされていましたが、今では「しけ絹」を生産している工場は国内でも数少なく貴重なものとなっています。
現在は主にブラジルから輸入した生糸を使っていますが、かつてのように地元産の絹糸を使ったものづくりを目指して、3年前には土づくりから考え、蚕の餌となる桑の木の栽培にも取り組んでおられます。見学に伺った際に、葉っぱをひとかじり。青物の苦味はありますが、ほんのりと甘みも感じられました。地元の養蚕の歴史、絹織物産業の伝統がずっと先まで続くようにと挑戦を続ける6代目の松井さんご夫婦です。
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